トップへ戻る


最終更新日 2002年6月29日
 
平成13年度英語教育指導者講座(第6ブロック)
講 義 の 記 録

英語指導方法等改善の推進に関する懇談会(報告)
(文部科学省 2001年1月)

 
1日あたり午前中3時間+午後3時間=計2つの講義 + 夜1時間半の研究討議
■■■=各講義の先頭 ■各講義中の大見出し

講師の名前をクリックすると、個人HPへジャンプします。
 
 

■■■ 7月3日(火曜日)午後  開校式

■■■ 7月4日(水曜日)午前  加納幹雄・文部科学省教育課程教科調査官

テーマ:新しい学習指導要領と、これからの英語教育が目指すもの
 
■教育目標作成の流れ
中央教育審議会
教育課程審議会 → 学習指導要領 → 各学校での目標設定
 
■新学習指導要領における指導の重点の変化とは?
   知識の蓄積→生徒自らが考えること・学ぶことへの変化 + ゆとり教育
 
■年間目標をたてよう! : 必要な項目とは?
目標は? いつ? 何を用いて? どのような活動で? どのような方法で? どのように評価する?:
 → 学習指導要領を参考に : はじめと、pp.18-24付近
 
■英語教育における総括的目標とは?:以下の3つの条件を満たすこと
1)情報の送り手と受け手を意識すること
2)メッセージ(内容)があること
3)本物の・自然な状況があること
 
■班別討議:『話せない・聞けない』批判にどう答えるか? 対象:保護者と仮定すると?
?問題は何か? ?どのようにそれを解決するか?
 < 解決できない(時間がかかる)ことについてはふれない
   【例】クラスサイズ・入試制度・動機がない などは ×
 
■まとめ:Stop the Excuse!
   現状の不備に注目するよりも、できることから実践すること。
   この情報公開の時代に保護者へ説明できる準備を。
 
 

■■■ 7月4日(水曜日)午後  ヒュー・オリファント お茶の水女子大学外国人教師

テーマ:ALT制度をよりよく活用するために
 
1.ティームティーチングのメリットとは?
複数による授業・動機付け・教材開発・文化間交流
 
2.ALTとJTL それぞれの特長
 
JTL:学習者が感じる困難を理解・学習環境を理解している・第2言語としての英語に精通・学習者の言語に精通・学習方法についての助言
 
ALT:英語への動機付け・母国語話者・親しみやすさ
異文化・教材開発・価値観の違い
 
3.ALTとJTLが直面する問題
さまざまな不足:時間・フィードバック・情報・責任など
 →コミュニケーション不足が原因
 
4.ALT/JTLの協力体制を改善するために
A)授業計画と評価を改善する
  新着任のALTへのガイダンスを行う(目標・教授法・役割分担・評価方法など)
B)教室でのALTの役割を考える
  教授者・モデル・評価者・助言者・まとめ役・活動への参加者
  聞き手・情報発信源・調査者・俳優・エンターテイナーなど
C)その他の方策
  ○ ALTとJTLが役割を分担する
  ◎ ALTとJTLが同じ役割を共同で行う(クラス内2分割など)
 
5.ティームティーチングの改善のために

A)生徒が自ら行うコミュニケーションの機会を増やすために

・英語で授業を行う
・コミュニケーション活動を増やす(教師間・教師生徒間・生徒間)
・コミュニケーション活動に意味を持たせる(インフォメーションギャップ
・意見の相違・インタビュー・ブレーンストーミング・問題解決など)
・創造的な活動(スキット・ロールプレイ・書き込み式ダイアローグ
 ・シュミレーション・ストーリーテリング/ライティング)
・生徒に自己表現させるために(ペア/グループプレゼンテーション・ショートスピーチ・レポート・リサーチ活動・ショー&テル・ディベート)

B)生徒の創造的技術と積極的な姿勢をより育むために

・プレゼンテーション・ビデオを作る・ディスカッション・リサーチ活動
・記録をつける・参加・観察・日誌をつける・エッセイ・意見をまとめる・自己評価・相互評価・インタビューテスト・状況テスト・課題解決型テスト

C)授業外でALTをより活用するために

・ESS・英語新聞・英語の手紙・英語ラジオ/テレビ放送・英語掲示板
・コミュニケーションカード(教科書の後ろにはる→発言1つにつきハンコ1つ)
・手紙・eメイル・課外授業(入試など)・テストづくりの補助
・スピーチ/レシテーションコンテスト・教材書庫の作成/保管
・英語教師のためのセミナー・英語以外の教員/PTAのための英会話教室
・英語合宿・交流会・他の教科をサポート・学校行事をサポート・公務をサポート
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 授業研究(1)
・3年生・英語R 進学希望クラス対象
・英語のみで授業を行っている
・予習:3回読んでくる
・訳は前もってくばっておく

■■■ 7月5日(木曜日)午前  伊東治己 鳴門教育大学教授

テーマ:教科書を使ったコミュニケーション活動の実際
 
Warmup : カード上の諺を英語で他の人に説明するゲーム
 
 タスク重視の活動 ◎実際のコミュニケーション活動 ×準備に時間がかかる
→ 教科書を使ったコミュニケーション活動:時間をかけずにコミュニケーション活動を!
 
【実践例】
1)教科書を1人称で読み替えてみる
2)インタビュー形式(QA形式)に読み替える
3)対話文の5W1Hを書き換える
4)対話文を文章体に書き換える
5)文章体を対話文に書き換える
6)対話文を長くしてみる
7)教科書中の表からレポートを作ってみる
8)教科書中の写真から文章を作ってみる
9)パターン練習に1文加える。慣れたらさらにもう1文加える
  I can swin. > I can swim and I can ski, too. など
 
【演習】教科書を使ったコミュニケーション活動の実際
・4グループに分かれて、対話文・記述文をそれぞれ逆に書き換えてグループごとに発表。
・accuracy / fluency / content / behaviourの4観点から、相互評価
 
 
 

■■■ 7月5日(木曜日)午後  TOEFL-ITP テスト  1:00〜3:30

リスニング(約30分:25問:短文対話+長文内容把握)
文法(25分:40問:適語選択+正誤判定)
読解(55分:50問:テレビの効能を見直す・アメリカ大衆新聞の歴史・アメリカの巨大橋建設の歴史・トウモロコシ・天気予報学)
 
結果613点 (Listening 55 / Grammar & Expression 62 / Reading 67)
 
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 授業研究(2)

■■■ 7月6日(金曜日)午前  緑川日出子 昭和女子大学教授

テーマ:日本の中等教育への考察と改革
 
1.内省的教授法(Reflective Teaching)とは?
対象:学習者/教師が信じていること・行動・教材選択・様々なやりとり・言語使用など
目的:教授法の改善のため
方法:フィールドノート・記録帳・日誌・調査・インタビュー
   観察・手順分析・やりとりの分析・アクションリサーチ
 
2.自己研修型教師とは?
明確な目標の設定
→内容の選択(何を?なぜ?いつ?)
→学習課程の管理(どうやって?いつ?)
→評価(生徒の達成度+計画の有効性)
 
3.教室における第2言語修得過程を理解する
【重要な概念】インプット・アウトプット・形式的教授・気づき・自己発見・有意味な演習・偶発的学習・中間言語・定型発話・動機付け・学習戦略・伝達方略・伝達能力・包括的投入・言語機能
 
4.対象言語でコミュニケーションを図る実践的能力を開発する英語教育を始めるために
・タスクを用いた学習者中心の教授法
・学習計画から評価まで一貫した学習者の参加
・言語機能を教える ・学習者の言語戦略を教える
 

■■■ 7月6日(金曜日)午後  ウェザロール・ウィリアム ジャーナリスト

テーマ:よりよい議論のために
 
3種類の議論
1)単純な質問:経験により解決される 例:歌舞伎とは何か?
2)政治的/社会的な議論:説明が必要 例:歌舞伎の背景とは?
3)対立する事柄についての議論:説得が必要 例:国旗掲揚・地方分権
 
日本社会とは?:均質(ことばなど)であり多様(文化・地域性)
 

■■■ 7月9日(月曜日)午前  金谷 憲 東京学芸大教授

テーマ:インプット・インテイクを増やすために(1)
 
インプット:英語教師が生徒に英語を教える量
インテイク:生徒が英語を実際に学ぶ量
必ず インプット > インテイクの関係になる
 
【ポイント】現状はインプット・インテイクともに量が圧倒的に不足している
例:教科書をペーパーバックに置き換えてみると・・・
中学3年間で学ぶ量は20ページ 高校3年間でも60ページ
 
【問題点】インプット・インテイクには反復練習が必要vs反復練習は退屈
【活動例】効果的なインプット・インテイクのための活動とは?
 
■××度チェック
・ウォームアップに最適
・英語の聞き取り練習になる
 
■リズムで英語:リズムにのって発音+だんだん複雑にする
1)Basketball > Softball > Vallyball > Soccer・・・
2)I like basketball > I like soft ball >・・・
3)I don't like basketball・・・
 
■ダビングゲーム:語学番組のスキットや映画をまねる
1)ビデオを聞いて、せりふを書き取らせる。
2)ペアーになって、せりふの確認する。
3)ペアーで、せりふの練習をし、暗記する。
4)ビデオを見ながら吹き替えの練習する。
5)数組のペアーに実際に前でやってもらう。
 
利点:同じ対話文を、何度も練習させることが可能。(合計30回繰り返させても、飽きない。)
応用:日本語での吹き替え(洋画のせりふを書き取らせ、吹き替えに使えるよう日本語で要約し、吹き替えをする。ナレーション(映画のシーンを、英語で(文字で)表現し、映画に合うように編集し、暗記し、吹き込む)
教材:20秒から30秒の短いシーンで十分。ホームアローン・ミスタービーン・朝の職員室も良い。
 
■音読練習いろいろ
・コーラス→各文先頭の単語のみで→日本語訳を聞いて→ランダムに日本語訳を聞いて
・2度読みコーラス:教師のモデルリーディングのあと
          →1回目見て読む+2回目Look Upで
 
利点:単調さを防ぐ
目的:音読そのものではない→教材を音声で再現させることがねらい
 
■生徒動詞の対話練習いろいろ
・読むときにはテキストを後ろに隠す
 
■ルックアップ&ライト
・まとめ用に最適
・見るときは見て+隠すときは隠す
 
■LSD:Last Sentence Dictation
・音読していた最後の文章をディクテーションさせる
 
■BGMまたはBGN
・練習中に音楽を流す または 雑音を出すようにする
・より自然なコミュニケーション活動への環境を作り出すため

■■■ 7月9日(月曜日)午後  ジェームズRバワーズ 明治大学教授

テーマ:口頭解釈とは?
 
【外国語習得のためには】
言語にふれる機会・言語を使用する機会・言語を学ぶ動機の3つが必要
【ふれる機会は十分か?】
母国語話者になるには5000時間 外国語習得には600時間 日常会話程度なら120時間。日本の英語教育では750時間(105×3+145×3)を確保しているが、実際に英語にふれる時間は25〜100時間に過ぎない
【何が問題なのか?】
授業時間数に対して、英語以外(和訳・説明)に使われている時間が多すぎる。英語を使っているのも教師のみ。教師中心・教材制限・内容とぼしい・考える機会とぼしい
 
口頭での教材導入に際しての注意点
・口頭で行われ、自然なものであること
・生徒中心に行われること
・事前に学習したことを思い出させるようなものであること
・生徒の一般常識・知識に訴えること
・生徒の興味・知識に積極的に訴えること
・新たに学習する項目に注目させること
・言語技能(読む・聞く・書く・話す)を統合的に利用すること
・生徒の自信を生み出すようなものであること

 ・問題解決型の手法に従うこと

 1)観察と情報収集
 2)情報の解釈と仮説設定
 3)仮説の確認または否定 情報を評価

 ・口頭による導入は、一般的な教授案の形式に従うこと

 1)準備 2)学習(具体的に) 3)実践(生徒中心に)
 4)評価 5)確認(発音記号はここで) 6)拡張
 
【実践演習】英詩を用いた口頭解釈の例
  >難解な英詩を用いたのは生徒にとっての『わからない状態』を先生が体験するため
1)難しい英詩を3回聞く。聞き取れた単語をメモ
2)3〜7人のグループ(ペアは×)を作って、それぞれの単語リストを交換する
3)確認したい単語のリストを作成する
4)英詩の概要をまとめる
5)実際のテキストをみる。どんな単語が聞けて/聞けなかったかをグループで討論する 【!これが発見!】
 
まとめ:英語教師におくる言葉『3PT』
1:細かなところまで、気を配ること(precision)
2:忍耐強く続けること(patience)
3:徹底してやること(persistence)
4:生徒を信頼すること(trust)
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 授業研究(3)
・自身の授業:【コメント】早口 プレッシャーがきつい 学校格差あり

■■■ 7月10日(火曜日)午前  金谷 憲 東京学芸大教授

テーマ:インプット・インテイクを増やすために(2)
 
1)ウォームアップ:早口言葉 Peter Piper ... / Betty Botter bought ...

2)シャドーイング:まとめやリビューに用いる

3)ラウドスピーカー(シャドーイングの応用)

 ・ヘッドフォンで聞いた音を他の人の前でシャドーイング
 ・聞き手は、シャドーイングされた音から本文を再現する
 ・OCにも応用可能 < 内容について『議論する』チャンス
 ・時間がかかるので注意 (1時間以上)
 ・最初は低学力者から始めるのがコツ
 ・5〜6文が適切 既習のテキストを使っても良い

4)速読:WPM (Words Per Minute)を意識する

・WPM=(総語数)÷(秒数/60)×(正解数/問題数)
・総語数は150程度が適切
・教材は簡単なものを選ぶ
・習っていない語は2語までにする(例:中学の教科書)
・その他の教材例:xxx Stories for Reproduction  by L.A.Hill
・はじめは30WPM→3ヶ月で70〜80WPMへ
・センター試験受験には130WPMが必要
・2次試験の内容も速読を求めるものに変わりつつある

5)多読:方法を変えて本文全体を何度も読ませる

【例:通常8時間を使う課を2時間で6回読ませることも可能】
・まずは日本語訳を配っておく
・1回目:日本語訳から段落の並べ替えをさせるタスク
・2回目:トピックセンテンスを確認させるタスク
・3回目:まとめプリントを用いた空所補充タスク
・4回目:キーワード探し:教師が読んだ語句を本文中から探す
・5回目:最も印象に残った文章を抜き出す>ペアでシャドーイング
・6回目:まとめのQAセッション
・残った時間で、単語や構文を押さえることも十分可能。それでも多読としては優れている。
 
■まとめ:選択の余地を!:訳読一辺倒からの脱出
 訳読が必ずしも悪いわけではない。が、それしかしない/できないのは問題。言語学習には不可欠なインプット/インテイクに伴う単調さを解決することはできない。これまでに紹介したさまざまな活動を利用することで、インプットをより増やすように、さらに教師側からのインプットがより効果的にインテイクにつながるように工夫すべきである。
 

■■■ 7月10日(火曜日)午後  靜 哲人 関西大学助教授

テーマ:読解中心の授業におけるインプット/アウトプット
および演習と評価の統合
 
■よい授業とは?=生徒が行うアウトプットの量で評価する
 
■授業内で生徒のアウトプットを評価するには?
・座席表と参加得点表を一致させておく
・自発的発言3 指名発言+内容◎2 指名発言+内容?1 3秒以内に答えられない0
 
■生徒の発言を引き出すために
・単語テスト
1)授業の前に、黒板に単語リストを書いておく
2)授業がはじまったら、単語についての説明文(英語)を読んで、黒板から単語を選ばせる
3)ペアにして、相互に出題させる(出題者にとっては英単語を説明する練習/聞き手にとっては説明を聞き取る練習になる)
4)最後に単語を本文中に埋め戻す演習:くちポンクローズテスト=その単語が現れるところで口で『ポン』という。そこに入る単語を言わせる
5)同じ事を、ペアでさせる。
 
・リード&ルックアップ応用編
1)ペアになって、一方は読み手・一方は聞き手になる。
2)読み手はある文をを見て覚えてから、聞き手と目を合わせながら文を伝える(本文を見ない)
3)聞き手は、読み手の英文をくり返す
 
■音読について:コーラスリーディングは儀式か?
・ただ単にコーラスリーディングをすれば、コミュニケーションではない。
・本文の意味を変えないように、1文につき単語を1語でも言い換えれば、状況を改善できる。
 
■テキストを書き換える方法
  1)言い換え  2)入れ替え  3)単純化  4)細分化
  5)詳述化  6)創造的拡張(意味を膨らませる)
 
これらを、リード&ルックアップに応用する。
EIYOW(Expressing It in Your Own Words)を合い言葉に!
 
■評価への意識を高めるために
・フィードバックが大切
・評価基準を明確にする(実際にはもっと緩やかに適応する:生徒の意欲を高めるために)
・ハンドルネームを使って成績順位を公表
 >意欲を高めるため・全体の中での位置をつかむために・プライバシー保護のために
 
■おまけ:発音矯正のために
・コーラスリーディングでは、個人の訂正は困難
・ラウンドアップ形式で発音練習を行うことで効率的な指導が可能
 【例】run around > real > Marilyn > Monroe > Marilyn Monroe was a real star
    1ステップごとに確認を!
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 授業研究(4)
・板書をまとめとして利用:情報を消しながらテストする。

■■■ 7月11日(水曜日)午前  アルバート・ジョン・チック 兵庫教育大学外国人教員

テーマ:音声学・音韻論
 
【音声指導の具体例】
・強音と弱音の聞き取り
・短縮形・短縮音の聞き取り
・注意すべき(日本人にとって類似する)母音/子音の聞き取り:s/th b/v 4つの『あ』
・連続子音(consonant clusters)の練習:screen / tree / dreamなど
・音節数を数えさせる:clothes(1) frightened(2) opened(2)
・音節+強勢位置の確認テスト
 
・ディクテーション
・英文中で強勢が置かれる語の確認
 
・音声指導はできるだけ視覚化する
:ゴムを使って長母音指導 banana saladなど 黒板への文字の大きさだけでも視覚化できる
 

■■■ 7月11日(水曜日)午後  デイビッド・J・ベグラー テンプル大学ジャパン教授

テーマ:技能に基づく言語学習:読解編
 
■どのように読解を理解するか?
・下から上への処理:文字・語彙・文法・文構造など順番に 『綴り方・文法・語彙』
・上から下への処理:すでに知っている知識と新しい情報を結びつける
『概念・文化』→この2つをうまく組み合わせることが大切 『双方向処理』
 
■どのような教授原理を用いるべきか?
・予備知識を活性化する:読解前の活動・文章構造の理解
・語彙力を高める:2000語の基本語と600語の学術語で90%以上をカバー
 
・理解のための教授法:スキミング(流し読み)・スキャニング(拾い読み)・精読&多読・要約・段落ごとのQA・難解な部分の説明を要求・次の展開の予測
 →はじめは教師が模範を示す→徐々に生徒の活動を増やす
 →その他:読解記録をつけさせる・統合型カリキュラム
 
・読解スピードを高める:好ましい循環を=十分な理解が→スピードを上げて→読解を楽しむことになり→たくさん読めるようになる
【例】WPMを意識した時間制限による読解 / 多読活動 : いずれも97〜100理解できるレベルの教材を用いること
 
・読解戦略を確認する:→読解戦略の一例
 読解戦略とは?  文章中の中心となる考えを理解すること
 必要な理由  理解が促進されるから
 方法  トピックセンテンスを探す
 必要な場面  論説文で用いる
 使い方  各段落の最初または最後の1〜2文を読む
 確かめ方  他の生徒や先生と議論する
・進歩を評価する:学力テスト・章テスト・多読記入表・WPMグラフなどを用いる
 
■生徒が進んで読解を行うようになるには?
・期待される利益を増やすこと:褒め続ける・興味深い活動・公平なテスト・成功率の高い課題・目標設定・生徒に質問させる・有意義な読解活動
・期待される努力は減らすこと:背景知識の提供・読解への明確な目標・読解予備活動・語彙予備活動・読解戦略についての議論・成功率の高い教材・長い教材を細分化
 
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 授業研究(5)

 
 
■■■ 7月12日(木曜日)午前  吉田研作 上智大学教授
テーマ:コミュニカティブな英語力を高めるために
水槽から大海へ − 学習英語から生きた英語へ
 
【演習1】Following erroneous sentences : Which sentence is the most acceptable?
 
Target sentence : When do you go to school?
 
a) When you go to school?   b) You when go to school?
c) When you to school go?   d) You go to when school?
e) You go to school when?   f) When go you to school?
 
Types of errors : STRUCTURE
1) omission 2) addition  3) misformation (go-GOED-GOED)
4) misorderring 5) substitution
 
vs. functional/semantic (notional-functional)
TIME + ASKING for information
 
→ 教師はSTRUCTUREを教えがちだが、実際には、FUNCTIONやMEANINGを教えるべき
 
【演習2】将来、歌手になれたらいいなぁ、と思う
→ 仮定法を使わなくてもOK さまざまな言い方がある
 
【演習3】How would you complement someone who is wearing a beautiful dress?
→ What a beautiful DRESS!とは、絶対に言わない!
→ You look beautiful!が普通。 / Where did you get it?も『この文脈では』可能。
 
☆ Communicative Approachの目指すもの:文脈を離れてコミュニケーションは存在しない。
 
【演習4】夏の海水浴場を英語で説明させる
 
△ There are eight people. The man in the beach ... :単なる描写ではおもしろくない
◎ I think the boy in the beach are doing ...
  新たなPERSPECTIVE(ものの考え方)を導入することで、より創造的な活動に帰ることが可能になる
 
←絵に表情が含まれたほうがいい。
 
【教師中心/型にはまったやり方】 意味よりも形式・内容よりも技能・使用よりも正確さ
  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
【生徒中心/相互作用による方法】 形式を学ぶ基本となる意味 内容を学ぶ手段としての技能 学習者の言葉を承認
 
△Display activity:答えがあらかじめ分かっている質問 (showing a glass) 教師中心 "What is this?" / Pattern practice / Dialogue (Role play)
 
◎Referential activity:(答えの決まっていない)本当の質問 生徒中心 What did you eat this morning? 
 

■■■ 7月12日(木曜日)午後  ヒュー・オリファント お茶の水女子大学外国人教師

テーマ:Interaction in the Classroom
(教室でのコミュニケーション活動)
 
■ 新学習指導要録の変化
a)全体的な目標:実践的コミュニケーション能力+積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度
b)変化:実践的コミュニケーション能力 教材の内容・情報のやりとり・自己表現に焦点
c)コミュニケーション重視の意味:文法や正確さよりもコミュニケーション優先 意味のある情報交換を含む本当のコミュニケーション・意味のある文脈
 
■ 生徒・教師間/生徒どおしのやりとりを改善するために

a)教室での英語 (Classroom English)
  :英語での指示・生徒へのほめ言葉・小話(Small Talk)・ジョーク

b)発問の方法
  確認型display質問/収束型convergent質問→教師が答えを用意できる ×創造性
  参照型referential質問/発散型divergent質問
     →答えを予測できない→生徒に考えさせる時間が必要
c)決まり事を作る:日課・あいさつ・特別な行事・休日など

d)コミュニケーションの方法:くり返しを依頼する 確認をする 意味を考える 要点をたずねる お礼を言う つなぎ言葉(you mean/in other words)を使う 理解確認のために言い換える 注意を引く 身振りを使う 反応を示す 会話をつなぐ(Conversation Maintenance)
 
e)ペアワーク・グループワーク
・良い点:生徒同士の助け合い 敷居が低い 発言の機会が増える 創造的なことができる
・悪い点:教師が状況を把握できない 間違いの訂正ができない 生徒間の人間関係
・注意点:目的・指示(やり方・制限時間)をはっきりと
     生徒の動きを監視 フィードバックを忘れずに
 
■ 教室でのコミュニケーション活動 具体例
インフォメーションギャップ/インタビュー/ゲーム/クイズ/シュミレーション/ロールプレイ/スピーチ/ディベート/問題解決/意志決定

ダイアローグ

・コラムダイアローグ:相手の部分を隠したり、自分の部分を隠しながら
・指示だけのダイアローグ:内容は生徒に作らせる
・選択ダイアローグ:ツリー式に選択肢を示し答えを選ばせる
・ジグゾーダイアローグ:順番をばらばらに
・プラスワンダイアローグ:最後の1文を作らせる
・ワンサイドダイアローグ:相手の反応を自由に入れさせる
 
■ 生徒に動機付けを与える手段
a)ほめる
b)評価方法:プレゼンテーション・インタビュー・自由英作文・レポート・参加点・相互評価・自己評価
c)教室外でのコミュニケーション活動:以前にも紹介されたので省略
 

■■■ 7月13日(金曜日)午前  吉田研作 上智大学教授

テーマ:多文化間コミュニケーション
コミュニケーション戦略を教えること
 
■スキーマ:過去・現在の経験を特定のコミュニケーションの場面に結びつけること
 
■スクリプト:台本。個々のスキーマに合わせて、連続した&固定表現に基づいた言い回しが存在する。【例】おはよう。こんにちは。もしもし。など
 
■スキーマの分類
1)個人的スキーマ:個人の経験にもとづくもの
2)社会的スキーマ:社会的偏見など。
3)普遍的スキーマ:言語が変わっても普遍的に持っている能力
 
■スキーマ間の対立:例えば、文化間の対立。断るときには、アメリカでは理由を明確に言うことが求められるのに対し、日本では謝罪が優先される。
 
■コミュニケーションにおける自己表現:支配的になっても従属的になってもいけない>バランスが大切
 
■多文化間コミュニケーションのモデル
1)自己表現段階
 a)論理機能:原因と影響、一般化、特殊化、対象、比較など
 b)自己表現機能:意見を述べる、説得、同意、相違
2)調整段階
 a)確認表現:Isee. I understand  意味のやりとり
 b)調整と協力:Let's How about Why don't we...
 
■誤解を解くために
a)プラスワン・ダイアローグ:ダイアローグの最後を
  変化させる/ブランクにしておく
b)戦略的ダイアローグ
  ・モデルからはずれる形の文を指定して反応を考えさせる(答えが予測できない)
  ・会話内容のみ指定して、実際の文は生徒に考えさせる
 
>単なるダイアローグによる役割練習では、Display Practiceにすぎない。
 

 

■■■ 7月13日(金曜日)午後  緑川日出子 昭和女子大学教授

テーマ:マイクロティーチングによる授業研究
 
・4人程度のグループに分かれて模擬授業および評価を行った。
・1グループあたり17分程度。一人あたり4分程度。
・1グループが評価などを行う。残りは生徒役を演じる。
・最後に講師からコメントがあった。
 

■■■ 7月16日(月曜日)午前  東後勝明 早稲田大学教授

テーマ:英語教育における刺激としてのジョーク
 
■ジョークの利点
楽しい・理解への挑戦・生徒の進歩を確認・学習者の注意を引きつける
西洋的考え方への親しみ・語呂合わせによる語彙力強化
 
■ジョーク選びの基準
社会的に受容されるか・偏見がないか・普遍性/独自性・簡潔さ(授業の1/4以下)
理解しやすさ
 
■ジョークの分類
語呂合わせ・ばかばかしさ・しったかぶり・民族ジョーク・ノックノックジョーク・うっかり教授ジョーク
 
Variation is the spice of life.
The use of jokes is the spice of English instruction.
A change is as good as a rest.

■■■ 7月16日(月曜日)午後  北尾謙治 同志社大学教授

テーマ:英語教育へのインターネットの利用
異文化理解と英作文の指導の試み
↓ 講義のレジュメがオンラインで公開されています ↓
http://ilc2.doshisha.ac.jp/users/kkitao/japanese/library/handout/osaka.htm
 
■インターネットの仕組み
・アドレスの仕組み
・インターネットの歴史:軍事目的に作られた
 
■インターネットおすすめサイト
 http://ilc2.doshisha.ac.jp/users/kkitao/japanese/library/article/eigokyoiku/internet.htm
・「タダ」はない:タダに見えても、広告塔の役割をしている>HotMailなど
・WWW以外のインターネット利用:EMail・チャット・Moo
・生徒によるWebページ作り
 
■インターネットを使って書くことについての指導
《ポイント》できるだけシンプルに!!
 > 自己紹介や日常生活について書くことからはじめよう!
 > 形式:1行60文字(日本語では30文字)でカットすること
 
・LECS:英文チャットの結果を分析できる
・Moo:リアルなチャットシステム http://langue.hyper.chubu.ac.jp/ozeki/saMOOraiIntro.html
 
■WWWの利点
1. 膨大な資料
2. マルチメディア
3. インターラクティブな資料
4. ハイパーリンク
5. 利用の容易さ
6. 容易な作成と情報発信
 >情報が必ずしも信頼できるわけではない!
7. 分散所蔵
 
■ウェブページ作成法
1)GeoCities利用(入門編)
2)他のページの構造を参考にする>カット&ペースト
 

☆☆☆ 夜7:30〜9:00 考査研究(1)
発音
・3つとも同じならA、1つ異なるならB、全部違うならC
本文内容
・正しい日本語訳を記号で選ばせる
自由英作文:基準作りが難しい。
 
1)質問文を英語訳する
2)英語訳した質問文に、さらに自由英作文で答える。
3)採点基準:文法項目を満たしているか?内容は面白いか?

 

■■■ 7月17日(火曜日)午前  ティモシー・ライト 大妻女子大学教授

テーマ:修辞学と口頭解釈におけるコミュニケーション的側面
TESOL: Teaching English to Speakers of Other Languages
 
■調音音声学:異音(allophone)に注意
 
両唇音(p/b)破裂音・日本語以上に破裂させる。
舌歯音(f/v)摩擦音
歯茎音(t/d)vの音はバイクをふかす音:(s/d)摩擦音
歯音(th)舌を出す。トカゲのよう。
口蓋音(sh/dg)ガラガラヘビ。
鼻音:(m)チーズケーキを見たときの感動音。7〜8秒続ける
母音:(ae)の音が特に大切。
 
■その他:散文/韻文/ドラマ/グループ読み/児童文学/インタビュー/放送/身の上話/即興/歴史に関するスピーチ/その他
 

 

■■■ 7月17日(火曜日)午後  北尾キャスリン 同志社女子大学教授

テーマ:英語を話す人とコミュニケーションをするために
機能についての教授
 
・コミュニケーション能力とは何か?
 1)文法・語彙
★2)社会言語学
 3)談話(文脈)
 4)戦略
 
・欠けた場合?
   1/3/4→意味が通らなくなるだけ ★2→聞き手を不快な気分にさせる
 
・社会言語学的なまちがいがおこる要因
1)母国語の知識を、第2言語に持ち込もうとしたとき(transfer)
2)世界観の違い
3)言語を十分に統率できていない場合(linguistic control)
4)固定概念(stereotype)
 
【班別協議】apology / complaint / opinionsについて、授業への生かし方を話し合う。
 

 

■■■ 7月18日(曜日)午前  平田和人 文部科学省教育課程教科調査官

テーマ:評価方法の改善について
 
1.英語教育の現状:学習指導要領の改訂+コミュニケーションのための外国語学習研究
 
2.コミュニケーションとは何か?
【定義】2人もしくはそれ以上の人の間で行われる考えや情報の交換。情報の送り手(sender)と受け手(receiver)が必ず必要。
【特徴】社会的相互作用/伝達方法と内容が予測不可能かつ創造的/談話または社会文化上の文脈で行われる/何らかの目的をもつ/現実の結果に基づいて成否が判断させる
 
3.コミュニケーション能力とは何か?:4つの能力を示す
1)文法的言語能力:文法的に正しい文章を生成する能力
2)談話的言語能力:文法的形式と意味をまとめてまとまった話し言葉または書き言葉を完成させる能力
3)社会言語学的能力:社会文化的文脈で適切に言語を使う能力
4)戦略的言語能力:コミュニケーションの失敗を補正したり、コミュニケーションの効果をより高めるために言語的また非言語コミュニケーションの方法を使う能力
 
4.評価とは何か?:意志決定の目的で情報を体系的にあつめること
 
【評価の流れ】評価目標の設定→評価のための必要な情報を収集
       →情報の適切な解釈→解釈に基づいた教育的意志決定
 
1)第1段階:評価のための3つの姿勢
・形成的評価:進行中の作業を観察する
・個人内評価:個人の過去の到達度と比較して、その個人の現状の成果を評価する
・総括的評価:学習単元終了後にある生徒の達成度を評価する
 
2)第2段階:様々な評価方法を採用する
  【例】筆記試験/リスニングテスト/インタビューテスト/授業内所見
     ワークシート/自由英作文/レポートやその他の資料
 
3)第3段階:評価の観点を意識する:4つの評価の観点
(1)外国語によるコミュニケーションへの関心・意欲・積極的態度:4技能を含む
(2)外国語で自らを表現する能力:話す・書く
(3)外国語を理解する能力:聞く・読む
(4)言語や文化の知識と理解:4技能を含む
 
  観点=フィルター  評価基準=尺度
 
4)第4段階:明確な方針決定としての評価:評価方法を評価する
(1)将来の教育内容を改善するのに役に立つか?
(2)評価によってどんな決定がなされたか?
(3)評価方法について同意がなされたか?
  妥当性:評価の正しさ
  信頼性:結果に対する試験者・被験者による影響
  実効性:実行による犠牲と容易さ
(4)評価結果が効果的に生徒に伝えられるか?
(5)小テスト・定期テスト・習熟度テスト:異なる種類のテストにある相互関係は?
  絶対評価:あらかじめ設定した基準に到達したかどうか
  相対評価:全体の中での位置による評価。平均が重要要素。
絶対評価をより重視すべき
 
5.設問の分類
・復習のための設問
・各章の主な内容を理解させる設問
・知識や技能をくり返し練習させる練習問題
・既習の知識を関連づけたり結びつけたりする設問
・新しい知識や規則の発見につながる問題解決型の設問
 
6.自己評価
(1)効果的に行われたか − 自己評価カードの利用
(2)客観的評価は難しい − 能力育成の必要性・教師側がコメントすること
(3)自己評価に期待すること − 自己強化(内なる動機付け)/順応/補完的評価
 >自己強化と順応により自己教育力が高まる>自宅学習への影響
(4)生涯教育の観点からの重要性
 

  

■■■ 7月18日(曜日)午後  ウェザロール・ウィリアム ジャーナリスト

テーマ:英語からみる俳句
 
・『和』『洋』に分けてしまうのはよくない。
・英語での俳句とは、ものごとの本質を見つめる方法。17音・31音にはこだわらない。
・ことば・形式の簡潔さが、俳句では大切。>minimalism
・俳句の歴史:和歌、さらにさかのぼって長歌に起源を持つ。長歌は、もとは万葉仮名以前の口承文学だった。
 
【俳句の例】
 
山本
Buzzing
Scratching
Japanese summer
 
小山
The rain has gone
Summer has come
The sea is waiting
 
長岡
Happy times have gone
Hard times still await us ahead
Who can tell why
 
藤永
After a downpour
A shower of cicadas
Summer in Japan
 
Children's laughter
Fireworks
Quiet ocean
 
 
 
 

 
■■■ 7月19日(木曜日)午前  閉校式

 

【講座を終えての最終レポート】
 
CHANGES THAT I AM GOING TO INTRODUCE AFTER THIS SEMINAR
 
   One of the most serious troubles I have about teaching English is how to decide the general direction. There are a lot of conflicting values in teaching English. If we put too much emphasis on communicative activities, we will be surely forced to feel the problem on accuracy, namely grammar. If we solely focus on the knowledge of English, it will sometimes deprive students of their will to use English as a means of communication.
   We all know that the answer must lie in a 'proper' balance of such values, but it is very hard for me to decide the balance. Even in one lesson, I am always wondering which activities I should do for students. If I choose one activity, I have to throw away other activities, which are also effective to improve their English abilities.
   So far, I tried to have a regular discussion on how and what to teach with teachers in our grade. We talked and decided purposes and activities in each lesson. By exchanging ideas, at least we were able to improve our classes. Still, there were only three English teachers in our grade, and ideas were limited. Sometimes we lacked effective measures to the problem, which could be another dilemma.
   Throughout this seminar, however, I have learned both theoretical and practical ways on teaching English, some of which can be immediately applied to our classes. First of all, Teach English in English. Every teacher must agree that this will be very hard for both teachers and students, but in this seminar, I have been taught two things: 1) INPUT is essentially important in language learning (in Mr. Kanatani's lecture). 2) We should use English as much as possible and use simple Japanese, only just in case.(in Ms. Midorikawa's lecture). Hence, I will try my best to teach English in English.
   Second, I would like to focus on INTAKE. I was only interested in how to improve my lesson, in other word, the teacher-centered teaching method. But Mr. Kanatani has taught us that INPUT does not always mean INTAKE: students don’t learn everything that teachers teach. This is a very simple claim, but it is very new to me. In order to improve INTAKE on students' side, I will try to practice various methods introduced in this seminar, which, I believe, will make my class less boring. Especially, I am concerned with oral interaction, oral reading practices, and speed reading with WPM.
   Last but not least, I would like to cooperate with other teachers including ALTs. Their cooperation is essential to implement what I am thinking. We need to talk much more about general ideas on teaching, annual teaching plans, and specific contents ways and of teaching. In this sense, what I must do first is to exchange what I have learned in this seminar with others. I strongly hope that I will be able to carry out my plans with other teachers, and that students will love English more. At that time, I will surely say, "This seminar turned out very useful and motivating."

 


2002.5.10提出の書類

英語教育指導者講座に係わる実践報告書
 
第6ブロック
兵庫県
1.氏 名  XXXX
 
2.所 属  XX県立XXX高等学校
 
3.実践報告
 
a.基本方針の改善
 
 本講座に参加しての一番の収穫は、以下のような授業に対する具体的な基本方針が自分なりに立てられるようになった点にある。
 
1)『実践的コミュニケーション能力の育成』のために一定量のインプットが必要である。どんな工夫を行っても、インプット量が不足すると、実践的コミュニケーションを図るために必要な英語運用能力は養われない。
 
2)教師側がインプットさせようとするものが、必ずしも生徒側が実際にインプットするもの(=インテイク)になるわけではない。教師による単調なインプット作業は生徒のインテイク効率を下げる。
 
3)教師は生徒のインテイク効率を高めるために、さまざまな工夫を授業でする必要がある。つまり、インプット量を増やしつつ同時にインテイク率を上げることが、授業におけ具体的な目標となる。
 
b.授業外改善:第3学年での実践例
 
1)年間計画の作成と運用
春期休業期間を利用して、年間計画を作成。担当教員との打ち合わせを数回持った。進度や授業内容についても検討を重ねた。教材は6種類にわたるがお互い重複がないように、また相互に補完しあうように配慮している。
 
2)教師間交流の活性化
意思統一を明確にするために、断続的に進度や授業方針についての意見交換を行い、教師間での進度や授業方法に不公平感がでないように配慮している。
 
3)作業分担の円滑化
各学期および年間を通し、教材の作成を計画的に分担することで教材内容の多様化と、教材作成への時間的余裕を心がけている。
 
c.授業内改善
 
リーディングでの実践例
 
【以前の授業展開例】     → 【現在の授業展開例】

時間(分)

活動内容





















 

時間(分)

活動内容

5〜10

 

語句解説
 教科書下欄の
 語句の意味確認

3〜5

 

前の復習
 内容と語句
 英問英答方式

3〜5

 

本文聞き取り
 本文を通して
 聞かせる

5〜10


 

語句解説
 補足プリントに
 より精選したも
 の
のみ

10
 〜15

内容説明
 逐語訳による

5〜10

 

内容理解
 補足プリントの
 英問英答

10
 〜15

 

構文解説
 板書により文法
 語法のポイント
 まとめ

3〜5



 

音読練習
 ペア練習。発音
 できない語句を
 鉛筆でチェック
 させる

3〜5

 

音読練習
 ペアで音読練習
 

3〜5


 

本文聞き取り
 発音の確認と全
 体の内容確認を
 させる

 

さらに1時間に扱う英文量を
倍にして、3時間に1回、
さまざまなタスク活動により
英文全体の復習を行っている
 





 

10
 〜15



 

構文演習
 テキストから精
 選した英文の構
 造解説。補足プ
 リント利用
 


 
 
全般的な改善点
 
1)活動数の増加
・授業を単調にしがちな日本語訳の部分を極力減らしている。
・授業の最初に行う『前回のまとめ』では、英語でのQAセッションを行っている。
・進度を速めることによって生まれる時間的余裕で、さまざまな読解後活動(post-reading activities)を行い、生徒のインテイク率を高める工夫をしている。
・WPMを生徒に意識させ、速読力養成に利用している。
 
2)インプット量の増加
・学習補助教材を別途作成、学習項目の明示および精選を行うことによって時間あたりに扱う英文量をこれまでの倍にしている。
 
3)英語運用率の増加
・内容確認の際に日本語による解説をやめ、英問英答に切りかえた。その際、できるだけ英語で授業を行うようにしている。
 
・オーラルコミュニケーションでは、日本語を使うことをやめ、英語による授業を行っている。
 
4)内容面での改善
・担当教員間で協議の上、教科書内容の思い切った精選を行っている。
 
・選択英語では、インターネットを利用して時事問題を扱うことで、生徒にとって興味深い教材となるよう心がけている。1学期には、パレスチナ問題を集中的に取り扱った。
 
d.その他
 
1)インターネットを利用した情報収集・公開
・授業で利用できるサイトをまとめたリンク集を作成、定期的に確認しつつ、授業に活用している。
http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/LINK.HTM
 
・授業で利用した教材や考査問題などを一般公開し、利用できるようにしている。
http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/PYXIS.HTM
http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/20010703.HTM
 
e.まとめ
 
 この研修に参加するまでは、1)コミュニケーション能力育成の具体的な方策 2)訳読方式にかわる授業形態 3)各教師個人のレベルを越えた協力体制づくり という3つの問題に解決方法が見いだせず、苦労していた。それぞれに一定の答えが得られたことが、この講座を受講しての成果であり、実践報告となる。
 
1)実践的コミュニケーション能力という最終目標にむけて、まずできることは、インプットの量を増やしていきながら、生徒のインテイクという名の学習成果が上がるように工夫をしていくことにある。より退屈しない授業、それが当面の目標となる。
 
2)訳読方式にかわる授業形態については、現段階では英問英答を利用したoral interpretationが最も有力と考える。訳読自体も、それだけに偏らなければ、内容理解の1つの選択肢として残してよい。
 
3)教師間の協力体制づくりは、各教師の自由性を奪う危険性に注意する必要はあるものの、学習成果を高めるために不可欠。そのためにも、学習目標と到達進度を明示した年間計画作成、および適宜その内容を検討していくことが必要。